鬼門・裏鬼門とは?怖くない理由と現代の対策を建築士が解説

「鬼門にトイレがあると不幸になる」。家づくりでそう聞いて、不安になったことはありませんか? これは、家づくりの相談でいちばん多く受ける質問でもあります。結論から言います。現代の住まいなら、気にしなくて大丈夫です。

鬼門・裏鬼門は「怖い場所」ではありません。陰と陽が入れ替わる、変化の起きやすい方位です。昔の人がなぜ嫌ったのか、その理由をたどると、今の家には当てはまらないことがはっきりします。

【この記事でわかること】

  • 鬼門・裏鬼門の本当の意味。
  • 自宅の鬼門・裏鬼門の調べ方。
  • 昔「NG」とされた理由と、現代で気にしなくていい理由。
  • 清潔と換気を軸にした、現実的な付き合い方。

※鬼門・裏鬼門を含め、住まい全体の整え方と、生まれ持った運の活かし方は、無料メール講座でも順を追ってお伝えしています。あわせてどうぞ。

鬼門・裏鬼門とは?北東・南西と「鬼」の正体

鬼門は北東、裏鬼門は南西の方角です。どちらも、家の中心から見て決めます。この2つを結んだ線が、鬼門・裏鬼門のラインです。

なぜこの方角が嫌われてきたのか。その正体は「鬼」ではなく、陰陽の考え方にあります。

鬼門は北東、裏鬼門は南西を示す方位図(北を上・十二支つき)

鬼門は北東、裏鬼門は南西

風水の土台には「陰陽(いんよう)」という考え方があります。陰陽とは、2つでひとつという価値観のこと。白と黒が組み合わさった対極図を見たことがある方も多いはずです。白が陽、黒が陰を表します。

この図は方角も表します。暖かい南が陽、寒い北が陰。そして北東と南西は、ちょうど陽と陰が入れ替わる境目にあたります。

鬼門・裏鬼門とは、この『陰と陽が入れ替わるライン』のことなのです。良いものが悪いものへ、悪いものが良いものへ。変化が起きやすい方位、と言い換えられます。

「鬼」の正体は、陰陽の入れ替わり

お化けが出る時間を「丑三つ時(うしみつどき)」と言います。夜中の2時から3時ごろ。これも、陰と陽が入れ替わる時間帯です。

夜と昼が入れ替わる。あるいは、この世とあの世が入れ替わる。だから、あの世のものが出てくる、と怖がられました。

風水では、時間と方角をセットで見ます。入れ替わりの時間が丑三つ時なら、入れ替わりの方角が北東。そこで北東は「お化けの出入り口」と言われるようになりました。鬼とは、つまりお化けのことです。

鬼の角が牛で、パンツが虎柄の理由

鬼の絵を思い浮かべてください。頭に角があって、虎柄のパンツをはいています。あの角は牛の角、パンツは虎柄です。

これにも理由があります。北東は十二支でいうと「艮(うしとら)」、丑(牛)と寅(虎)の方向にあたります。だから鬼を描くとき、牛の角と虎柄をあわせた姿になりました。

鬼門を怖がる気持ちの出どころは、この陰陽の入れ替わりでした。お化けそのものが北東にいるわけではありません。

【鑑定現場から】

鬼門を怖がって相談に来られた方に、「北東は怖い方位ではなく、陰と陽が入れ替わる『変化の方位』なんですよ」とお伝えすると、多くの方がふっと表情をゆるめられます。理由の分からない不安は、解消のしようがありません。でも、なぜそう言われてきたのかという根拠まで知ると、「そういうことなら、問題ないんですね」と、心から安堵した表情を浮かべてくださいます。

自宅の鬼門・裏鬼門の調べ方

自宅の鬼門・裏鬼門は、家の中心を出し、そこから北東と南西を見れば分かります。特別な道具は要りません。方位磁石(スマホのコンパスアプリでも可)があれば十分です。

家の中心を出す

まず、間取り図で家の中心を出します。おおまかには、建物の外周を長方形とみなしたときの対角線が交わる点が中心です。中心が決まらないと、方角もずれます。ここは丁寧に。

方位磁石は「磁北」で測る

中心に立って、方位磁石で北東(鬼門)と南西(裏鬼門)を確かめます。

ひとつ注意点があります。方位磁石が指す北は、地図の北(真北)とは少しずれています。日本では、磁石の北は真北より西へ約7度ずれます。厳密に方角を出したいときは、この「西へ約7度」を頭に入れておいてください。

家の中の方角の見方は、風水の方角の基本で詳しくまとめています。あわせて読むと、部屋ごとの方位も見当がつきます。

北東と南西を結ぶラインの上に、玄関・キッチン・トイレなどがあるかどうか。まずはそれを確認してみてください。

「水回り・玄関はNG」の本当の理由と、現代で気にしなくていい理由

「鬼門に水回りや玄関はNG」。昔そう言われたのには、2つの理由があります。そしてどちらも、現代の家には当てはまりません。順番に見ていきます。

理由① 大事な土をけがすから

北東(鬼門)は、五行でいうと「土」の方位です。五行とは、世の中のすべてを木・火・土・金・水の5つに分ける考え方のこと。

土は特別な意味を持ちます。中央を表し、色でいえば黄色。黄色は皇帝の色です。土は米を生み出す、大事な要素でもあります。

昔のトイレは、土を掘って汚物をためる汲み取り式でした。つまり、大事な土を人の汚物で直接けがすことになります。しかもそれが、変化を意味する方位で起きる。だから悪い方へ転じる、と嫌われました。これが理由の1つ目です。

理由② 土と水は相性が悪いから

もうひとつは、五行の相性です。五行には「土剋水(どこくすい)」という関係があります。土は水を攻める、つまり土と水は相性が悪い、という意味です。

土の方位である北東に、水回りという「水」を持ち込むと相性が悪い。これが、水回りNG説のもう1つの根拠でした。

現代の家では、どちらも当てはまらない

では、今の家はどうでしょう。

今のトイレは水洗です。汚物は土に触れず、配管を通って下水へ流れ、敷地の外へ出ていきます。土をけがしていません。理由①は消えます。

水も同じです。配管でまったく別の方位を通り、家の外へ出ていきます。その場所に水がとどまっているわけではありません。理由②も消えます。

だから私は、現代の住宅なら、北東にトイレや水回りがあっても問題ありません、とお伝えしています。玄関も同じです。「お化けの出入り口」という言い伝えの正体は、陰陽の入れ替わりのライン。怖い意味ではありませんでした。

【鑑定現場から】

「水回りが鬼門にあって気になるのですが、大丈夫でしょうか」。これも、とても多いご相談です。私はいつも、「現代の建物は昔とは造りが違うので、水回りの位置は気にしなくて大丈夫ですよ」とお伝えしています。風水の知識がバージョンアップされないまま伝わってきたために、今も誤解されているだけなんです。ただ「大丈夫」と言うだけでなく、なぜ大丈夫なのかまで根拠をお話しすると、みなさん安心して、気に入った今のプランのまま進められます。「それなら安心です」と、とても喜んでいただけます。

昔の言い伝えには、その時代なりの理由がありました。ただ、家の作り方が変われば、答えも変わります。理由をたどれば、不安の多くは外れます。

💡 鬼門にあってよい部屋かどうかは、方位だけでなく家全体のどこにあるかで変わります。

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鬼門・裏鬼門にあってもいい部屋・避けたい配置

「鬼門に置いてはいけない」と昔から言われたのが、玄関・キッチン・水回りの3つです。家相ではこれを「三備(さんび)」と呼びます。逆に、寝室や収納は昔からとくに問題視されてきませんでした。

ただ、ここでも神経質になりすぎないことが大切です。

三備(玄関・キッチン・水回り)の話の出どころ

三備が避けられたのは、さきほど見たとおり、汲み取り式トイレや、火・水の扱いが今とまったく違った時代の話です。火を使うかまど、水を扱う水回り、人が出入りする玄関。どれも昔は、衛生や火の管理という現実的な問題を抱えていました。

家相と風水は、似ているようで別のものです。三備の考え方は、どちらかというと家相の話が中心になります。

寝室・収納などは、もともと問題にならない

寝室、子ども部屋、収納、押し入れ。こうした部屋は、鬼門・裏鬼門にあっても、昔から問題視されてきませんでした。北東にどうしても水回りを置きたくない場合は、これらの部屋を配置するのも一つの手です。

「欠け」や「張り」も、間取り全体で見る

家の形の「欠け(へこみ)」や「張り(出っぱり)」を気にする方もいます。ただ、間取りは一部分だけを取り出して良し悪しを決めるものではありません。全体のバランスで見ます。

部屋ごとの方位の考え方は、風水の間取り完全ガイドにまとめています。鬼門だけにとらわれず、家全体で考えるのがおすすめです。

北東の水回りに手を入れるなら、着手する日も見ておくと安心です。年4回の土用は、期間と間日が決まっています。

今日からできる鬼門・裏鬼門の対策

いちばん大事な対策は、清潔と換気です。これに尽きます。そのうえで、どうしても気になる方に向けた、五行にかなった一手も紹介します。

清潔・換気をいちばんに

水回りで気になるのは、排泄という「陰」のものが生まれる点です。だからこそ、こまめに掃除をして、換気をする。それが陰の気を払う、いちばんの対策になります。

風水で考えた間取りだから、あとは何もしなくていい。そういうものではありません。日々、その空間にどれだけ気持ちを注ぐか。掃除や換気という心がけそのものが、風水では大切にされてきました。

掃除が運気にどう効くのかは、風水と掃除の関係で詳しくお伝えしています。

楽をしたいなら「金」を足す

もう少し楽をしたい方には、五行を使った方法があります。

相性の悪い「土」と「水」の間に、「金」の要素を足すのです。土は金を生み、金は水を生む(土生金・金生水)。間に金が入ると、土と水がうまくつながって、相性が整います。

金の要素は、色でいえば白、そして金属です。白いタオルや金属製の小物を、水回りの近くに置く。それだけで対策になります。

トイレにはアメジストを

トイレの空間がどうしても気になる方には、アメジスト(紫水晶)もおすすめです。空間の浄化をうながす石として、昔から使われてきました。トイレに置いておくと、空間をきれいに保ちやすくなります。

トイレの方角別の対策は、風水でトイレの運気を上げる方法にまとめています。観葉植物や盛り塩も、補助的な手として知られています。

やりすぎには注意

ひとつだけ、行きすぎに注意してください。「鬼門にトイレがあるから引っ越す」。ここまでする必要はありません。

そもそも現代の住宅で、鬼門・裏鬼門を完全に避けるのは、ほぼ不可能です。避けようとして不便な家になっては、本末転倒です。

💡 家相の正解を追うより、「今の住まいをどう活かすか」が現代の風水です。

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一級建築士の視点|完璧な家相より「機能的な家」

完璧な家相を追いかけるより、使い勝手が良く、機能的な家をつくる。私はそれこそが、現代の風水だと考えています。

完璧な家相は、現代ではほぼ不可能

土地には形があり、方角があり、法律の制限もあります。家族の暮らし方もそれぞれです。そのすべてを満たしたうえで、鬼門・裏鬼門まで完全に避けようとすると、たいていどこかに無理が出ます。

使いにくい間取り、暗い部屋、動きにくい動線。方位を守るために暮らしにくくなったら、家としては失敗です。

機能的なものこそ、現代の風水

風水の目的は、そこに住む人が心地よく、健やかに暮らすことです。使い勝手が良く、機能的であること。それ自体が、いちばんの開運だと私は考えています。方位の作法と、暮らしやすさがぶつかったら、暮らしやすさを取ってください。

鬼門は、実は「チャンスの方位」

もう一歩、踏み込みます。鬼門・裏鬼門は、変化を意味する方位でした。変化とは、悪い方だけでなく、良い方への転機でもあります。家の中では、むしろ良い方位と捉えてかまいません。上手に使えば、良い転機に活かせます。

歴史をさかのぼると、面白いことに気づきます。陰陽五行の考え方は、もともと国を治める立場の人たちが使っていました。その人たちにとって、変化は都合が悪いものでもありました。下から実力でのし上がる者、いわゆる下剋上が出てくると困るからです。

変化の方位を「悪い」ものとして遠ざけさせる。そうすれば、チャンスをつかんで力をつける人を抑えられる。そういう側面もあったのではないか、と私は見ています。鬼門を怖がる気持ちの根っこには、そんな歴史も混じっているのかもしれません。

目的は、不安にならないこと

風水は、因果関係を証明するのがとても難しい分野です。そして人生には、良いことばかりが続くわけではありません。

もし良くないことが起きたとき、「北東にトイレがあったせいかも」と思ってしまう。その気持ちは、なかなか消えないものです。だからこそ、正しい知識を持っておいてほしいのです。

北東にトイレがあっても大丈夫。その理由を知っていれば、不安に飲み込まれずにすみます。悪いと思えた出来事も、あとから振り返ると、あれがあって良かった、と思えることは少なくありません。それを受け止めるのが、陰陽の考え方です。

よくある質問

Q. 鬼門に玄関があるとどうなりますか?

昔は「お化けの出入り口」として嫌われましたが、その正体は陰陽の入れ替わりのラインです。現代の住まいで、玄関が北東にあること自体を過度に心配する必要はありません。清潔に保ち、明るく風通しよくしておけば十分です。

Q. 鬼門にトイレやお風呂があるのは本当にダメですか?

昔NGとされたのは、汲み取り式で土をけがしたから、そして土と水の相性が悪いから、という2つの理由でした。今のトイレは水洗で、水は配管を通って家の外へ流れます。どちらの理由も当てはまらないので、問題ありません。

Q. 鬼門って気にしすぎでしょうか?

気にしすぎて不便な家になるほうが問題です。理由を知ったうえで、清潔と換気を心がける。そのくらいの距離感がちょうどよいと思います。

Q. マンションでも鬼門を気にするべきですか?

考え方は戸建てと同じです。水洗・配管が整ったマンションなら、方位そのものを深刻に気にする必要はありません。どうしても気になる場所は、清潔に保つことを優先してください。

Q. 鬼門・裏鬼門にあってもいい部屋はありますか?

寝室、子ども部屋、収納、押し入れなどは、昔からとくに問題視されてきませんでした。水回りをどうしても避けたい場合は、こうした部屋を配置するのも一つの方法です。

Q. 鬼門の対策には何を置けばいいですか?

いちばんは清潔と換気です。加えて、水回りの近くに白いものや金属(金の要素)を置くと、土と水の相性が整います。トイレにはアメジストもおすすめです。

まとめ

鬼門・裏鬼門について、要点を整理します。

  • 鬼門は北東、裏鬼門は南西。陰と陽が入れ替わる『変化の方位』です。
  • 「鬼」の正体はお化け。北東が丑・寅の方向だから、鬼は牛の角と虎柄で描かれます。
  • 昔NGとされた理由は「土をけがす」「土と水の相性」の2つ。現代の水洗・配管では、どちらも当てはまりません。
  • 対策は清潔と換気が最優先。気になるなら、水回りに金の要素、トイレにアメジストを。
  • 完璧な家相より、機能的な家。鬼門は、上手に使えばチャンスの方位です。

鬼門は、怖がるための方位ではありません。正しく知って、不安から自由になるための方位です。理由が分かれば、住まいの選択はぐっと軽くなります。

井上馨一郎(風水設計士かおる)/一級建築士・日本風水建築協会代表

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